シグ沢な日々

ミリタリーやアニメ、私的なアレコレ。痒い所に手が届くブログを目指しています。

頼まれなくたって生きてやる

8月29日 日曜日。

暇を持て余していた私は何時ものようにアマゾンプライムビデオでアニメを漁っていました。次は何を見ようと探していた時にツイッターでトレンドに突如浮上したとある作品の名前を思い出し、それを見ることにしました。

1998年に放送されていたブレンパワードです。

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 私と近い年齢層(26,7歳)でロボットアニメやゲームなどを触れている中で、名前だけでも聞いたことがある人はいるのではないのでしょうか。

実際、私が本作の名前を知ったのは幼少期に叔父からもらったホビージャパン誌に掲載されていたネリーブレン(劇中終盤から登場する主人公の乗機)のキットが紹介されているページを見た時が出会いだったと記憶しています。

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ネリーブレン

幼いながらも当時からロボットアニメが好きだった私は、すでにロボットアニメというのは未来技術を用いて製造されたロボが宇宙や空を青い噴射炎の閃光を曳きながら飛び回りビームを撃ち合うか、如何にも悪人面なロボと正義のロボが技名を叫び合いプロレスを繰り広げるものと、どことなく理解はしていた中でネリーブレンの姿を見た時は酷く違和感を覚えたのでしよう。姿だけは覚えており、中学生の頃にプレイしていたPS2用ゲームソフトのACE2でブレンパワードが参戦し、それが動く形で再開した時はそれも衝撃的でした。

フワフワとよくわからない原理で飛ぶアンチボディ(劇中に登場する人型の存在の総称)と握られた武器から放たれるビームなのかよくわからないエネルギー弾。

なにがなんだかわからないよ!! と当時の私は心ながらに思っていたことでしょう。

しかし、その当時では作品自体に触れる手段がなかった為、ゲームで触れるまででした。

 

それから何年もたった今、原点であるアニメを見る手段と機会があり、視聴した次第です。

一日で全26話を視聴しきってしまった辺り、本作はとても惹かれるものがあったのだと思います。

歪んだ家族達もそうですが、良くも悪くも魅力的かつ個性的なキャラクターたちが織り成す台詞の応酬と関係性がしっとりとしている部分もありながら、時に酷く鋭利に描かれていました。

あくまで子供を研究の道具としてしか扱わない母。

研究に没頭するあまりに妻が若い男と寝ていることに気付かない父。

そんな両親を見て授かった名前を捨てた子。

ここまで箇条書きしても生々しいと言いますか、欲望のままに活きる人たちと、それに絶望する者がいるなんていう構図が悲しさを誘います。

ここで述べた若い男が、主人公である伊佐未 勇(いさみ ゆう)とライバルとも言える立ち位置のジョナサン・グレーンという青年ですが、これがまたとんでもない子でして……。

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ジョナサン・グレーン

勇の母と愛人関係であり、勇の姉――伊佐未 依依子(いさみ いいこ)とも関係を作っており事実上、親子丼をやってのけるなかなかなキャラです。

しかもそれを勇に暴露してのけるのが、ジョナサンという男なのです。(無論、勇はこれを聞いて激怒、絶叫します。私的にはこのシーンも好きだったりします)

ただ、そんな彼も前述の“歪んだ家族達”の中の1人であり、母から愛を注がれぬまま育ち、それを求め続けたまま大人になってしまったのです。

愚行もその反動なのでしょうか。

ジョナサンだけではなく、本作ではとても魅力的なキャラクター達がいます。

 

誰からも求められぬまま生きてきた中で愛し合える人を見つけ、生きようと進む者。

死する覚悟の元戦い続けていた中で愛する者の為に戦い、生きると決めた者。

 

人とのつながりの成す物語、とでも言うべきなのでしょうか。

自らの為だけでなく、大切な他の為に生きると気付いた人は、とても強いのかもしれません。

 

頼まれなくたって、生きてやる。

これ以上のキャッチコピーはないでしょうね。

 

人とのつながりは切っても切れない物だと、昨今の情勢下だからこそ大切にしなければならない。そうとも思わせてくれる大切な作品になったと思います。